人間はいつから香りを使い始めたのか?
人間が香料を扱い始めた歴史は、人間が歩んできた歴史と同じと言えると思われます。
人間は遥か昔、文献などで残っている以前から植物など様々な香りの効能や有効性について認識し、その価値に気づき使用していたと考えられます。
人間は腐敗した食品を匂いで判別することや、匂いで危険を察知し身を守るなど、臭覚で様々なことを察知しており、人間の嗅覚は重要な役割を果たしています。
さらに人間以外の動物も、餌を見つけたり、自分のなわばりを決めたり守るために匂いを利用したりします。
また、動物は植物に体をこすり付け匂いを消す行動を行う事もあり、動物の香りの歴史は、体臭を消すために植物を利用することから始まったと言う説もあります。
では、実際に文献として残っている香りの歴史に触れていきたいと思います。
最古の文明のメソポタミア文明にも香りの文献が残っています。
幾つかの本やインターネットの情報には古代メソポタミア文明にある、レバノンシダー(杉科の植物)が香料の始まりとあり「レバノンシダーを神への薫香としていた」とされています。
メソポタミア文明では、お香(薫香)や香油などの香料の使用が認められる文献や絵が楔型文字で粘土板や石板が多数出土しています。
様々な文献を調べていくとレバノンシダーが薫香の始まりとしては、正しいと思えるような記述に行き当たらず、「本当にそうなのか?」と思ってしまう結論となりました。
結論としてレバノンシダーは神聖なる神木であり、メソポタミア文明のレバノンシダーの壁画がロンドンの大英博物館に残されていることや「ギルガメシュ叙事詩」や「聖書」の中に何度と登場することからも、重要な木であることは様々な遺産から伝わってきます。しかし、薫香としてささげていたという一文が見つからないのと、その後歴史の中でレバノンシダーを神にささげるシーンは現れません。
しかし、儀式の中で杉油を頭に塗ったことや香料の仕入れとしてシダーウッドが含まれているという文献もあり、推測として間違いではないのかもしれません。
では、香りの始まりとして正しいと思われるものは何なのかと言うと、文字が生まれる以前から香料は使用されていたため、既に様々な香料を使い始めており、文献からもどれが香料の始まりなのか分からないというのが正しいのではと思われます。
神様にささげる神聖なものとして、珍重されている香料を香料の始まりとするなら、相応しい香料があります。
それは、メソポタミア文明の中で文献にキッチリと残っています。
また、未だにその香りはキリスト教などでも神へささげる薫香として使われているものになります。
その香料は、乳香と没薬であり、神に捧げるものとして使用されていたとされています。
メソポタミア文明では、香油として桂皮油や杉油などを使用していることや、輸入されていた香料と思われるものは乳香、没薬、サイプレス、シダーウッド、菖蒲などがあり、シュメール人は様々な香料を扱い、軟膏などのスキンケアや化粧品、儀式としての使用していたと推測されています。
今回はここまで、次回は香りの始まりの続きで古代エジプト文明での香りの話です。
主要参考文献
山田 憲太郎 (1980)「香薬東西」:法政大学出版局
本間 延実 (2005)「香料史概略と幾つかの逸話」
長谷川香料株式会社 (2013)「香料の科学」



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